フリーランスの世界で生き残るために、必要な武器は何か?という質問に対して回答するとしたら、間違いなく「スキル」だと思います。
もちろんスキルは大切ですが、それを活かすことができるコミュニケーション能力がなければ意味がありません。
フリーランスにとって、コミュニケーション能力を鍛えるのは簡単なことではありません。研修制度もなければ、頼れる先輩もいないのがフリーランスです。
そこで本記事では、コミュニケーション能力を向上させるための最初のステップとして「コミュニケーション能力とは何か?」を言語化するところから始めます。
コミュニケーションの原則を理解し、ビジネスを次のステージへと導くことができるように願っています。
フリーランスに必要と言われる「コミュニケーション力」とは
読解力:相手の言葉や目的を読み解く力

相手の言葉を紐解く力、読解力はコミュニケーションの基礎です。正確な理解がなければ、適切な反応や対話は不可能です。この力を養うことで、より深い理解と効果的なコミュニケーションが可能になります。
相手の言葉を整理する能力は鍛えるのが難しいように思えますが、「AはBである」という形に分解することでわかりやすくなります。
具体例
例えば下記の文章をクライアントから送られてきたとしましょう。このメッセージ自体は非常にわかりづらいバッドコミュニケーション例です。
先日送っていただいたデザイン案についてチームと共有し検討したところ、いくつか気がかりな点が浮上しました。特に色の使い方とレイアウトについて、私たちのイメージしていた雰囲気と少し異なる部分があります。色合いはもう少し控えめに、そして全体のレイアウトはもう少しシンプルな感じで進めたいと考えています。
おそらく見た方の多くが感じた内容としては「デザインが気に食わないんだろうな」でしょう。それ自体は正解です。この問題を解決するために、読み解きましょう。
コツは先ほどお伝えした通り「AはBである」を抽出することです。ここでは「イメージと異なる」という意図を掴みやすいようネガティブな内容を抽出します。
- 「〇〇の色」は「控えめでない」と感じている
- 「〇〇のレイアウト」は「シンプルでない」と感じている
読み解ける事実は、実はこの2つだけです。ここまで分解すると何を聞くべきなのか、どこに共感すべきかもわかりますね。

観察力:相手の言葉外にある目的を見つける力

相手の言葉の裏側にある本当の目的を見抜く力、それが観察力です。単に言葉を理解するだけでなく、その言葉の選び方やニュアンスから、相手の真意を読み取ることが重要です。言葉の背景にある感情や意図を察知することで、より適切なコミュニケーションが可能になります。
観察力を高めるには、相手の表情や声のトーン、身振り手振りなどの非言語的なサインにも注目することが大切です。これらの要素から、相手の心理状態や真の意図を推し量ることができます。
具体例
例えば、クライアントから以下のようなメッセージが届いたとします。
先日のミーティングで提案いただいた企画案ですが、内容は良いと思うのですが、もう少し詳細を詰める必要があるかもしれません。期限までにしっかりとした提案書を作成していただけますか?
一見すると、企画案に対して好意的なフィードバックのように見えます。
しかし、「詳細を詰める必要がある」という言葉や、「しっかりとした提案書」を求められていることから、十分な意図の汲み取りができていない可能性があります。
積極性:自分から会話をする力
円滑なコミュニケーションには、受け身ではなく能動的に会話に参加する積極性が不可欠です。
自分から話題を提供したり、質問をしたりすることで、相手との対話をより深めることができます。「待つ」のではなく「動く」姿勢が、良好な関係構築につながります。
遠慮や恐れを捨て、率直に自分の思いを表現することが大切です。同時に、相手の反応にも敏感でいることが求められます。一方的に話すのではなく、相手の言葉にしっかりと耳を傾けましょう。
具体例
例えば、新しいクライアントとの初回ミーティングの場面を考えてみましょう。自己紹介を済ませた後、沈黙が続いているとします。このような状況で、受け身の姿勢でいては、会話は弾みません。
ここで積極性を発揮するなら、自分から話題を振ることが有効です。
弊社のサービスをご利用いただき、ありがとうございます。御社の事業について、もう少し詳しく教えていただけますか? 特にどのような点でお困りで、私たちに期待されていることは何でしょうか。
このように、相手の状況を知りたいという積極的な姿勢を示すことで、会話は自然と弾んでいきます。クライアントのニーズを引き出し、適切な提案をすることにもつながるでしょう。
要約力:「つまり」に落とし込む力

議論が長引いたり、論点がぼやけたりしたときに、問題の核心を簡潔に言い表す力が要約力です。複雑な内容を「つまり」に集約し、わかりやすく伝えることが求められます。要約力は、物事の本質を見抜く洞察力と言葉を選ぶ表現力の両方を必要とします。
要約力を鍛えるには、情報を整理し、優先順位をつける習慣が大切です。与えられた情報の中から、最も重要なポイントは何かを見極めましょう。そして、それを端的な言葉で表現する訓練を積むことが肝要です。
具体例
長時間に渡る会議の末、議論が堂々巡りになっているとします。このような場面では、要約力を発揮して、議論の本質を見失わないようにすることが重要です。
これまでの議論を整理しますと、問題の核心は以下の2点だと思います。
- 現状のマーケティング戦略では、目標の売上を達成できない可能性が高い
- 新たな施策を打ち出すには、予算と人員の確保が急務である
つまり、限られたリソースをどう活用するかが、今の我々の最大の課題だと言えます。この点について、もう一度議論を深めてみませんか。
このように、議論のポイントを明確に言語化することで、会議の方向性を修正し、生産的な議論へと導くことができるのです。
適応性:相手によって対応を切り替える力

相手のパーソナリティや立場、状況に合わせて、自分の対応を柔軟に変化させる力が適応性です。
年齢や職位、文化的背景などが異なる相手とコミュニケーションをとる際には、相手に合わせた言葉遣いや話題選びが求められます。画一的な対応ではなく、臨機応変に提案を切り替える適応力が重要となります。
適応性を高めるには、相手の特性を素早く見抜く観察眼と多様な対話のパターンを身につけておくことが不可欠です。相手のことを理解しようと努力し、その人に合ったコミュニケーションのあり方を模索しましょう。
具体例
例えば、社内の部署を超えた会議の場を考えてみましょう。参加者には、若手社員から経営層まで、様々な立場の人がいます。
若手社員に対しては、堅苦しくならないよう、柔らかい物言いを心がけます。一方、経営層には、単刀直入に要点を伝え、ビジネス上のメリットを強調するアプローチが有効でしょう。
(若手社員に)この企画は、我々の部署の強みを生かせる良い機会だと思います。アイデアを出し合って、一緒にがんばりましょう!
(経営層に)今回の企画は、売上増加とブランド力強化に直結します。コスト面でも十分に見込みがあると試算しています。ぜひ実現に向けてご支援をお願いします。
このように、相手の立場に応じて話し方を使い分けることが、円滑なコミュニケーションには欠かせません。多様な人々と良好な関係を築くためには、適応性が重要な鍵となるのです。
フリーランスとしてコミュニケーション能力を鍛えるには?

能動的にアクションする
フリーランスとして成功するには、受け身ではなく能動的にコミュニケーションを取ることが重要です。クライアントからの連絡を待つのではなく、こちらから積極的に提案やフィードバックを行いましょう。自分から一歩踏み出す姿勢が、信頼関係の構築につながります。
能動的にアクションするためには、自分の強みや専門性を明確に伝えることが大切です。自分にしかできない価値を提供し、クライアントのビジネスに貢献する意欲を示しましょう。また、定期的な報告や相談を通じて、クライアントとの連携を密にすることも効果的です。
実践方法
- クライアントに定期的な進捗報告や提案を行う
- 自分の専門分野に関する情報発信を行い、存在感を高める
- クライアントの課題解決に向けて、自発的にアイデアを出す
流れを決めて、場数を踏む
コミュニケーション能力を鍛えるには、実践あるのみです。様々な場面で多くの人と対話をすることで、経験値を積み重ねていきましょう。ただし、闇雲に場数を踏むのではなく、明確な目的意識を持って臨むことが大切です。
自分なりのコミュニケーションの型を確立するために、流れを決めて練習してみましょう。
例えば、会話の始め方、話題の展開、終わり方などのパターンを用意しておくことで、スムーズな対話が可能になります。繰り返し練習することで、自然と身についていくはずです。
実践方法
- 勉強会やセミナーに参加し、積極的に発言する
- ネットワーキングイベントで、多様な人々と交流する
- 自分なりの会話のテンプレートを作成し、実践で試す
最も手早いのは「見て学ぶ」
コミュニケーション能力を短期間で向上させるには、優れたコミュニケーターを観察し、真似ることが最も効果的です。
ビジネスの場で活躍する人物や、魅力的なスピーカーなどを参考にしましょう。彼らの話し方、身振り手振り、表情などを細かく観察し、自分のものにしていくのです。
また、自分の尊敬する人や、コミュニケーション能力が高いと思う人に、直接アドバイスをもらうのも良い方法です。実体験に基づくアドバイスは、書籍などでは得られない生きた知恵となるでしょう。
メンターを見つけ、コミュニケーションのあり方を学ぶことをおすすめします。
実践方法
- 尊敬するビジネスパーソンのスピーチ動画を観て、話し方を研究する
- コミュニケーション能力が高い知人に、アドバイスを求める
- 日常の様々な場面で、効果的なコミュニケーションを観察し、真似る
フリーランスは、組織に頼ることなく、自分の力でビジネスを切り拓いていかなければなりません。だからこそ、コミュニケーション能力は必要不可欠なスキルなのです。
能動的にアクションし、実践で鍛え、優れた手本から学ぶ。この3つを意識して取り組むことで、きっとあなたのコミュニケーション能力は飛躍的に向上するはずです。

コミュニケーション能力は必要不可欠なスキル
- 能動的にアクションする:自分から積極的に提案やフィードバックを行い、信頼関係を構築する。
- 流れを決めて、場数を踏む:明確な目的意識を持って、様々な場面で多くの人と対話をする。
- 最も手早いのは「見て学ぶ」:優れたコミュニケーターを観察し、真似ることで短期間で能力を向上させる。
これらを意識して取り組むことで、フリーランスのコミュニケーション能力は飛躍的に向上するでしょう。

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