Webデザインの世界は広大で多彩です。コーディングの知識があるに越したことはないかもしれませんが、それが必須ではないことを理解することも重要です。

本記事ではコーディングを「むしろ学ばない方が良い理由」と、コーディングを学びたくないWebデザイナーがどう対処すれば良いのか、そしてコーディングを学ぶべきケースについて説明します。

本記事は「中途半端なコーディング知識を覚えるくらいなら勉強しないほうがマシ」という考え方で解説しています。必ずしもWebデザイナーがコーディングを学ぶことを否定する訳ではありません。

結論:コーディングができないWebデザイナーでも良い

「コーディングができない」と悩むデザイナーは多いですが、結論から言えば『コーディングができないのは問題ない』です。

実際、弊社提携デザイナーにもコーディングができない人が多数いらっしゃいます。

ちゃんとした調査をしているわけでは有りませんが、大体7割程度の方はコーディングができない状態です。

もう少し具体的に『コーディングができないデザイナーでも食べていける』理由をお伝えします。

「コーディング業務を提供しない」ではありません

勘違いしないように先に宣言しておきます。コーディングができない=コーディングを含んだ案件を受けないではありません。

当たり前ですが、コーディング込みの案件とコーディングなしの案件では売上規模も対応幅も全く異なります。

「コーディングなしの案件であればデザイナーでも受けられるから…」と案件幅を狭めれば、確かにコーディング知識は不要です。

しかし、それでは案件の対応幅は狭くなりますし、売上も伸びないでしょう。

本記事ではあくまでデザイナー本人がコーディングの知識が少ないorないという前提で、コーディングを勉強しなくても売上が担保できることをお伝えしていければと思います。

むしろ「コーディングを勉強しない」方が良い理由

本記事の基本スタンスは「中途半端なコーディング知識を覚えるくらいなら勉強しないほうがマシ」です。

※筆者の個人的な意見です

そう考える具体的な理由をお伝えします。

覚えなければいけない周辺知識が非常に多いから

コーディングを学ぶ≒プログラム言語を学ぶ」です。

コーディングを学ぶ…と聞くと、一般的には

<h1>hello world</h1>

↑のような”コードの書き方”を想像されるかと思いますが、そんな楽な業務範囲ではないことが99%です。

  • サーバー関連する知識
  • ドメイン関連する知識
  • セキュリティ関連する知識
  • ブラウザ仕様に関連する知識
  • アクセシビリティに関連する知識

等々、コーディングを学ぶということはそれに関する様々な知識が要求されることに等しいです。

「デザイナーがコーディングを学ぶ」ということはこれらの知識を包括的に学ぶことになります。

つまり『覚えることがとにかく多い』です。

時間とエネルギーがかかり、デザイナーとしての本業から目を逸らす可能性があります。

HTMLの制約を誤って覚えてしまう可能性があるから

コーディングの初学者は、時としてHTMLやCSSの制約を誤解することがあります。

下手にHTMLを覚えてしまうと

  • 「こういうデザイン再現はできないんだ」
  • 「コーダー的にはこういうデザインの方が作りやすいんだ」

と無意識にもコーダー優位なデザインに変更してしまうことが多々あります。

もちろん、これらは決して悪いことではありません。コーディングしやすいデザインの方がコーディングする側としては楽です。

ですが「コーダーが楽になる」ためにデザインに制約をかけるのは正しくありません。

コーディングを専門にしている方であれば別な解決策を提案できることも当然あります。

それこそ専業コーダーレベルに覚える…気がないのであれば覚えないというのも選択肢になります。

アップデートによって「間違った知識になる」こともある

Webの知識はとても移り変わりが早く、”前に学んだ知識が今は間違っている“という状態は珍しくありません。

たまたま間違えて覚えていて、すぐに訂正した…のであれば問題ないのですが、、

間違った知識や極端な思い込みを押し付けてくるタイプの方もいらっしゃいます。

例えば

  • HTML5の基準が未だに現役だと思っている
  • Webpにすれば画像は最適化表示されると思っている
  • 画像のALTは必ずテキストを入れる必要がある
  • 非表示テキストはペナルティになる

等々…挙げればキリがないくらいには勘違いを生みやすい分野だと思っています。

もちろん、専門家から指摘されて素直に間違いを訂正していれば問題ありません。

しかし、専門家がいない環境にいる人や知識をアップデートする機会がないのであれば、むしろ覚えない方が良いくらいです。

自信満々に「私はこう学んだからこれが正しい」を主張されると厄介この上ないです。

広告用のLPを「画像のみで作る」は本当にナシなのか?
広告用のランディングページで使われる「画像のみで制作したLP」。表示速度が気になる、広告評価が下がる…それらは杞憂かもしれません。画像LPについて解説します。
この記事を読む

デザインスキルを磨く時間を圧迫してしまうから

コーディングに関わる知識が膨大とお伝えしましたが、当然「デザインスキル」も同じくらい膨大な知識量が必要です。

  • デザインツールの新機能を学ぶ
  • 流行の表現を学ぶ
  • UI/UXを学ぶ
  • デザイン関連のアクセシビリティを学ぶ

すべての人間は24時間という同じ時間が与えられています。

コーディングの勉強をするということは、その分デザインスキルを磨く時間を削ることに繋がります。

サイト制作は「分業」できるから

Web制作分野は分業が基本になっている業界です。

ひとつのランディングページを一人で作る方が珍しいくらいには分業が当たり前です。

それこそ「コーディング」という分野内においても分業が発生するくらいには作業を分割しやすいです。

デザイナーはデザインに集中し、コーダーはコーディングに集中する。

分業することで効率的かつ効果的にプロジェクトを進めることができます。

コーディングを勉強したくないWebデザイナーはどうしたらいい?

ここからは「コーディングを勉強したくない、でもコーディング込みの案件を受注したい」というデザイナーの方向けの内容です。

どうすればコーディングを勉強しないまま、LPやHPの制作業務に取り組むことができるようになるのかお伝えします。

コーダーに外注する

コーディングができない、でもコーディング込みのサービスを提供したい…となった場合、主力となるのは「外注」でしょう。

専門のコーダーにより高品質なコードを提供してもらえば、デザイナーはデザインに集中することができます。

「仕事になる前」から探しておくと◎

注意していただきたいのが、探すタイミングです。

「案件を見つけてからコーダーに依頼する」では遅いです。

  • いざ実際の時に見つからない
  • 打ち合わせ中に相談できない

等々、不都合が起こる可能性があります。

さらにコーダーを探す時間で納期を圧迫してしまう可能性もあるため余計なコストが発生する可能性もあります。

そのため、LPやHPの制作案件やWebアプリケーションの制作案件を受ける場合は、最低限”商談成立前”にコーダーにコンタクトを取りましょう。

コーディングを専門にしている業者は少ない

「コーディング 外注」で検索していただくと分かる通り、ヒットするのはほとんどがWeb制作会社でありコーディングを専門ではありません

もちろん、そういった会社に対してコーディングの依頼のみをすることも可能です。

しかし、「コーダーとして長く付き合っていきたい」と考えるのであればコーディングを専門としているところをおすすめします。

  • コーディング専門会社を探す
  • フリーランスコーダーを探す

主にこの2つが候補になるかと思います。

Figmaを使う

Figmaはコーディング知識なしにデザインとプロトタイプを作ることができるコラボレーションインターフェースデザインツールです。

PhotoshopやIllustratorと異なりプロトタイプ(試作品)を作るためのツールで、実機のようなページ遷移やアニメーション付きのカンプを作ることも可能です。

プロトタイプデザインツールの中でもFigmaは直感的で使いやすく、ブラウザでも動くため非常に使用感が良い点も特徴です。

なぜFigma?

「どんなツールでも結局コーディングしやすさは変わらないんじゃないの?」と思われるかと思いますが、「実機に近いものを作れる」というツールなので『実機で再現できること』の制約があります。

有名なところで言えばPSDにある光彩や描画モード等の設定がそれに近いです。これらの表現はHTML/CSS/JavaScriptでの再現が難しく、代替表現で我慢する必要があります。

※PSDを直接プロトタイプとすること自体をやめたほうが良い…という考えも含まれています

これらのデザイナーの方は意図せず使ってしまいがちな表現ですが、Figmaであればこれらの制約はありません

というよりその機能がないのでブラウザでできない挙動や再現をしようがないのです。

そのため、意図せずともHTML/CSSのルール内で収まるデザインを作ることができます。

ノーコードツールを使う

「Webサイトを作る」という目標をシンプルに達成するだけであればノーコードツールを利用するのも有効な選択肢です。

ノーコードツールはコーディングの知識がなくてもウェブサイトを制作できるツールで、代表的なところではWixSTUDIOが挙げられます。

これらのツールはユーザーフレンドリーで、コーディングの経験がない人でも簡単に使えます。

コーディングの知識があればよりリッチなサイトが作れますが、とりあえず見れるサイトが欲しいということであればノーコードも選択肢になります。

最近では「ノーコードツールで作って欲しい」という依頼をいただくこともあるくらいです。コーディングを学ばないWebデザイナーにとって、効果的な選択肢となるでしょう。

まとめ:コーディングができなくても諦める必要はない

コーディングのスキルを持っていないWebデザイナーでも、成功する道は確実に存在します。

外注の活用、Figmaの採用、またはノーコードツールを使うことで、コーディングなしで素晴らしいデザインを実現し、クライアントの要求を満たすことができます。

コーディングに時間を割く代わりに、これらの解決策を利用してデザインスキルを磨き、市場で求められる価値を提供し続けましょう。

1日16円〜で頼れる技術パートナー

営業支援・技術支援ツールはこちら